NHK100分de名著/8月は「夜と霧」

08-02,2012

NHK Eテレの100分で名著という番組で、8月はV.E.フランクルの「夜と霧」が取り上げられています。
※全4回、第1回放送は昨日でしたが翌週に再放送があります。



これは過去に図書館で借りたものです。
夜と霧 (1)
旧版です。現在は新版が出版されていますがわたしはそちらは読んでいません。
翻訳本は訳者によって文体が複雑で読みづらいものがありますが、伊東 敏恵アナウンサーが仰っていたようにページをめくる手が止まらず、あっという間に読んでしまった記憶があります。



旧版には写真資料がまとめられており、死が身近なものではなくなった現代日本人には衝撃的です。
しかし、怖がりでホラー映画では目を開けることのできない私ですが、現実と思うと目をそむけることはできませんでした。
視覚から入る情報のインパクトは強烈で、文章だけでは到底想像することのできない部分を補っています。残念ながら、この貴重な写真資料は新版では削られているとのことです。









夜と霧



「夜と霧」とはご存じの方も多いと思いますが、「夜陰に乗じ、霧に紛れて人々が連れ去られ消された歴史的暗部を比喩した。」ナチスの強制収容所から奇跡的に生還されたおひとりの手記ですが、この本をさらに名著たらしめるゆえんは、彼が精神科医であったことによります。



彼が生き残ることができたのは、たびたびの「死の選抜」を免れた偶然、飢餓と病気に倒れることのなかった生命の運、そして、精神科医、心理学者として、みずからと周囲をを客観的な視点で眺め、分析していたことがおおいにあります。



精神科医的分析によって、単なる体験記とは異なる性質を帯びて描かれる強制収容所での日々。



人間は主観的になると視野が狭く独りよがりで、感情的に陥ってしまう。
しかしどんな窮地であっても出来事を客観的にみつめることにより、冷静に考えることができる。
つまり、理性を働かせることができる。そしてそれはかすかな希望になりえる。
わたしたちにもあてはまるのではないでしょうか。
実際、この番組で「夜と霧」が取り上げられることになったきっかけは
震災後また日本で売れているからなのだそうです。



ホロコースト生存者の著書を数多く読みましたが、中でも、図書館で再度借りて読んだほど、わたしにとってとても印象深い1冊です。人生観を変えたといっても過言ではないと思います。
「何人も不正をする権利はないということ。
たとえ不正に苦しんだ者でも不正をする権利はないということ。」
心ない人間がいる、しかし必ず、どんなに追い込まれた状況でもなお周囲を助けたり、他人に優しくできる人が居る。
その尊い人間の存在が生きる希望になる。
この平和で病んだ世の中でも。



夜と霧 (2)



夜と霧



夜と霧 (3)



Nacht und Nebel
夜と霧
というと、夜霧に乗じて拉致された方々のことを、日本人は忘れてはならない。
一日も早くご家族との再会が叶いますように・・・

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